桐生市民生委員さんにお話を伺いました。

今回の対談のお相手は、桐生市で民生委員として活動されています、馬場礼子さんです。

ー今日はよろしくお願いします。

 

「よろしくお願いします。」

 

ーまず初めにお聞きします。民生委員というのは、どんな人のことを言うので しょうか?

 

「民生委員は、厚生労働省から委嘱をされている、福祉に関する情報を持った人 のことです。各行政地区に必ずいます。主に高齢者や子育て世代の生活上の困りごとがある時に、相談内容に応じて、適切な支援場所への橋渡しをします。」

 

ーそうなんですね!いただいたリーフレットには「民生委員・児童委員」とある のですが、児童委員というのは…?

 

「民生委員は、児童委員を兼ねているんです。その中でも、子どもや子育てに関 することに特化して活動しているのが『主任児童委員』になります。私も主任児 童委員として活動しています。

 

ーでは実際に、どのような活動をされているのでしょうか?

 

「活動は様々ですが、まず、こそだて子屋という子育てサロンを、桐生市総合福 祉センターにて定期的に開催しています。今はコロナ禍でお休み中なので、早く 再開したいですね…。」

 

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ー小さいお子さんを持つ親御さんが集まれる場所って、貴重ですよね。

 

「そうなんです。例えば市外から引っ越してきたご家族などは、子どもをどこで 遊ばせていいかわからなかったりします。そんな時、サロンに来ている親御さん 同士で、リアルな情報を共有できるんです。私が知っているのは公園の場所な ど、ただの“情報”でしかないですが、子育て真っ只中の親御さんたちは実際にそ の公園へ行って“体験”している。より詳しい情報が得られるというわけです。」

 

ーなるほど。お子さんがまだ小さい場合、親御さん同士のお喋りも弾みそうです ね。その中で日々のちょっとした悩みなども打ち明けあったり…。

 

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「そうですそうです。親御さん達がホッとできる場所……“悩んでいるのはうちだ けじゃないんだ”と確認できる場所になったらいいなと常日頃思っています。今 の時代、インターネットでいくらでも情報は得られますが、直接人と話せること の大切さを感じてほしいですね。」

 

ー本当にそうですね。こそだて子屋、早く再開できるといいですね。それ以外の 活動は何かされていますか?

 

「子ども達の様子を普段から知るという目的で、あいさつ運動というものも行っ ています。小学校の門の前で、登校してきた子ども達にあいさつをします。“あ のおばちゃん知ってる!”と子どもたちに言ってもらうようになるのが理想です ね。地区や学校によって関わり方は様々ですが、いつでも子育て世代の力になれ るように、関係づくりに努めています。」

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ー学校行事などにも参加されていますよね?

 

「そうですね。今はコロナ禍でなかなか難しいですが、入学式、卒業式、運動会 などの行事に呼んでいただいています。保育園で一日園長をしたこともありまし た。」

 

ー今までのお話から、子どものことや子育てのことに関する問題がやはり多いん ですね。

 

「はい。そういう背景もあり、子どものことを専門に活動する主任児童委員がで きたというのもあります。」

 

ーそういうことなんですね!でも、子どものこと以外にも、民生委員さんに相談 することはできるのでしょうか?

 

「もちろんです。高齢者の方や障がい者の方、外国籍の方…。それ以外の大人の 方にも様々なお悩みがあると思います。福祉に関することならなんでも相談して いただいて大丈夫なんですよ。」

 

ー直通電話…ホットラインみたいなものはありますか?

 

「窓口は桐生市の社会福祉協議会になっているので、そこに電話してもらえれば 大丈夫です。紹介などで直接相談に来られる方もいらっしゃいます。」

 

ー紹介というのは、例えばどのような感じですか?

 

「例えば、困っているAさんがいるとしますね。そのAさんが近所のBさんに、 世間話程度に軽く悩みを打ち明けます。Bさんは知り合いに民生委員のCさんがいるので、『一緒に相談に行ってみる?』とAさんを誘います。そしてAさん、Bさ ん、民生委員のCさんが一堂に介し、一緒に今後のことを考えていく…という流れ です。」

 

ーわかりやすいご説明ありがとうございます。確かに、私達の周りでもごく普通 にありえることですよね。

 

「そうですね。もちろん私達も相談を待っているだけというわけではなく、普段 から『自分が民生委員をやっています』ということを周りにお知らせしたり、ア ンテナを高くしていることが大事なんだと思います。普段の人との繋がりの中で、問題が発見されることが多いですからね。」

 

―こんなこと聞いてしまってもいいのかな?ということでも大丈夫ですか?

 

「子どもとの会話やママさん同士のおしゃべりの中で気づいたことや子育てする なかで気になっていることなど、どんな些細なことでも全く構わないんです。私 達民生委員は皆さんの近くに必ずいますので、もっとどんどん利用してほしいで すね。うちの地区の民生委員は誰なの?と思っている人が多いのが現状なので、 私達ももっとアピールしていかなければ、と思います。」

 

ー心強いお言葉、ありがとうございます。いつでも気軽に相談できる人が身近に いるということを知っているだけで、安心感に繋がりますよね。

では最後になりますが、今特にお伝えしたいこと、お知らせしたいことはありま すか?

 

「はい。これは子育て世代の方に向けてですが、こそだて子屋が再開した際には ぜひ、遊びにいらしてください。妊娠中から来ていただくと、よりスムーズに情 報を得ることができると思うので、お気軽にどうぞ。」

 

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ー出産前にぜひ、ということですね!先輩ママのお話などもたくさん聞けそうで すね。

 

「そうですね。ぜひお待ちしています。それとこれは悩みを抱える方全員に向けてですが、“どこに相談していいのか分からない”いきなり役所や学校に相談するのはちょっと…”という方は、ぜひ私達民生委員をワンステップ挟んでほしいという ことです。ひとりで抱え込んで問題が大きくなる前に。病気に例えると“治療よりも予防”。その予防の部分になれればいいといつも思っています。地元に、す ぐそばに、こういう人間がいるということをぜひ知ってほしいです。」

 

ー今日はとても勉強になりました。ありがとうございました。

 

お話を伺う以前は「民生委員」という言葉に対し、「地域を見守っているおじ ちゃんおばちゃん」くらいのイメージしかありませんでした(失礼を承知で白状 しますが)。しかし実際多くの人が、そのようなイメージを持っているのではな いでしょうか?

「こんなことくらいで相談するのはどうかな?」と、心の中でくすぶらせている 悩みや不安はありませんか?そんな時こそ、民生委員に相談してみてください。 民生委員は、全ての人に関係する、全ての人のための存在です。今回の対談を きっかけに、その存在をもっと広く、皆さんに知ってもらいたいなと思いました。