『子育てに正解はない』
――これが今、子育てについてわたしが思うことです。
わたしは15年間障害児施設に勤め、100人以上の子どもに接してきました。また、プライベートにおいては、3人の男の子に恵まれました。その他、育成会役員や自分の子どもを通して地域の子と接したり、桐生市イクメンプロジェクト推進チームとして活動したりしながら、桐生市全体の子育てについて考え、たどり着いた“想い”です。
――私の父親は、銀行員でした。その影響もあって、小さい頃からなんとなく「将来は銀行員になりたい」と漠然と思っていました。しかし高校3年になり、突然「人の役に立つ仕事をしたい」と強く思うようになり、その答えが福祉の学校に行けばみつかると考えました。
入学後は授業には真面目に出ていたものの、福祉の何がしたいのかがよく分からず、模索する日々。自分自身を追い込めば何か見つかるのではないかと思い、空手道場に通ったり、バイクで日本全国を旅したり、ピースボートという船で地球一周をしたりと、さまざまな体験を通して自分と真剣に向き合いました。でも、はっきりとした答えは見つかりませんでした。
転機は、ちょうど20歳のときにありました。ボランティアで障害を持つ子どもとプールに入る機会があり、ある子どもが溺れかかってパニックになったのです。そのときわたしがその子を救助し、声をかけ続けると、落ち着きを取り戻して元気になりました。就職活動をするにあたってその出来事を思い出し、「障害を持つ方に関わる仕事をしよう」と決めました。その出来事が、わたしの“自信”になっていたのです。そして地元である群馬県に戻り、縁あって今の職場に勤めさせていただくことになりました。
仕事や地域活動、育児をしていくなかで、子育ての方法にはさまざまなかたちがあり、どれが正しいとは言えないと思うようになりました。仕事柄、子育てに関する本を読んだり、話を聞いたりすることが多いのですが、時代や人によって考え方が違います。たとえば、「だめ」という言葉かけをすると子どもの自尊感情が育たないという人もいれば、「だめ」を教えないと「良い」も教えられない、という人もいます。また、叱る必要性を説く人もいれば、叱らない育児を推進している人もいます。そのほかにも、自由な子育てを薦める人もいれば、早期教育の効果をいう人もいるといった具合で、子育てに関する考え方は千差万別です。ただ、子育てについて得た経験や知識は自分のなかに蓄積されて、役立っているのは事実です。
子育ておいていちばん重要だと思うことは、大人が子どもと真剣に向き合い、その“想い”が子どもに伝わることではないでしょうか。伝え方や伝わり方は人によって違うので、「正解」なんてないのです。
――『子育てに正解はない』。
今後わたしが書かせていただくコラムも、「正解」ではありません。
桐生で暮らす、ちょっと変わった(?)ひとりのパパの奮闘記として、楽しんでいただけたら幸いです。
(ライター・おーやん)
桐生市在住、3児のパパ、社会福祉士。障害児施設に勤務しているほか、桐生イクメンプロジェクトなどにも積極的に携わる。自身の経験から、「地域×パパ×子ども」の関わり方について模索し、現在は「ぱぱのBAきりゅう」にも参加中。趣味は一五一会とダイエット!