「言葉には力がある」と思うことがよくあります。たった一言で、人を傷つけることもあれば、勇気づけることもあります。
仕事柄子どもに言葉をかけることが多いので、特に考えさせられます。たとえば、子どもから「水!」と言われることがあります。それに対して親は「水を何?」と聞き返したり、「水をください、でしょう」と教えたりすることがあると思います。
でもよくよく考えると親も子どもが肘をついて食事をしていれば「肘!」、左手を下げていれば「左手!」と気づかないうちに言っているのではないでしょうか。わたしは、よくそれで反省しています。親が単語で言っていれば、子どももマネしますよね……。
ほかには、「ちゃんと」という言葉をなるべく使わないようにしています。この「ちゃんと」は言う人の主観が強く、抽象的な言葉なので子どもには伝わりにくい場合があるようです。それよりは、してほしい行動を具体的に伝えた方が効果的だと感じています。たとえば、「左手をちゃんとして」ではなく、「左手で茶碗を持って食べようね」とか「足をちゃんとして」ではなく、「足をのばして食べよう」などです。でも分かっているけど、この「ちゃんと」はよく使ってしまい、これまた反省することが多いです。
最後に、わたしがある親子を見ていて、すてきだと感じた言葉のかけかたをご紹介します。ある日、子どもが自転車で遊んでいて、その自転車を片づけずに違う遊びをはじめてしまいました。それを見ていたパパが、「自転車を片づけないと、自分がぶつかって怪我をするかもしれないから片づけよう」と言うと、子どもは素直に返事をし、自転車を片づけました。その場面を見ていて、わたしだったらきっと「自転車を片づけないと倒れて壊れるよ」と言っていただろう、と思いました。
でもそのパパは、自転車ではなく、子どものことを心配していることを伝えており、それが真実だと思いました。究極的なことを言えば、自転車よりも子どものほうが大切です。きっと子どもは自転車を片づけながら、自分のことを心配してくれて嬉しかったことでしょう。
慌ただしい毎日を送っているとついつい雑な言葉がけをしてしまい、反省することが多いです。このパパのように、子どものことを想ったやさしい言葉がけをしていきたいものですね。
(ライター:おーやん)
桐生市在住、3児のパパ、社会福祉士。障害児施設に勤務しているほか、桐生イクメンプロジェクトなどにも積極的に携わる。自身の経験から、「地域×パパ×子ども」の関わり方について模索し、現在は「ぱぱのBAきりゅう」にも参加中。趣味は一五一会とダイエット!