相生町で「木のおもちゃと手仕事屋かばんねこ」というおもちゃの専門店(とレンタルスペース)をしております、高橋と申します。店を始めて1年半が過ぎ、うろうろながら、なんとか自分のやりたいことを表現できるようになってきたかなと感じています。まだまだ至らないところがたくさんですが、地域の子どもたちとママとパパの役にたっていけるように、楽しく、努力して、続けていきたいです。
さて、店ではお客さまに「どうしておもちゃ屋をしようと思ったの?」「やっぱり木のおもちゃが子どもの知育に良かったの?」という質問をいただきます。「成績いいんでしょ!?」という、気持ちよくあけっぴろげな感じのも^^
なので、はじめての記事ですし、おもちゃの専門店をやろうと思ったきっかけを書いてみようと思います。もともとわたしは本の虫でしたので、妊娠した時から育児書を読みまくり、農薬や添加物のない食べ物を摂ったりせっけんシャンプーを使ったり、布おむつにしようとか哺乳瓶のメーカーを吟味したりとか、いろいろがんばっていました。生まれてからは、「本にあるとおり」3時間たつまでいくら泣いててもおっぱいをあげなかったり、眠くないのに寝かせようとしてがんばったり、離乳食も恥ずかしい思い出がたくさんですが、いまから考えると、「こうでなくちゃ」に神経質になりすぎて、勝手にがんばって勝手に苛々して、勝手に疲れていました。そんななか、またまた本のとおりに「1歳になりそうだから、積み木を」と、たまたま行ったおもちゃ店で「これ、きれいだなー」と何の気なしに買った積み木が、開眼のきっかけ(大げさ)になりました^^
1歳前の(その頃は超かわゆかった今は中2の)赤ん坊が、よく触って、遊ぶのです。例えば、ただの「積み木を並べる」が、「机の端にあわせて、きれいに並べる」になり、「自分の力でまっすぐに並べる」になり、「同じくらいの間隔をあけて並べる」になる。積むのも同じ。「無造作に、危うい感じで積んである」から、「ぐらぐらしないように気をつけて積む」→「端を揃えてきれいに積む」→「2段、3段と高くなる」と、あっという間に変化していくのです。その他にも、色鉛筆が寒色と暖色に分かれて置いてあったり、いろんな木のどんぐりが種類別に分類されていたり、おもちゃが大きい順に並んでいたり。そんないろんな彼の「遊びのあと」を見つけていくうちに、これはちょっと、すごいかも…、おもちゃって、すごくいいものかも…と、それからはもう、収集家です。家のお金をにぎる主婦ですから、(制限付きで)自由自在♡
でもおかげで、小さい頃の彼は、とてもよく遊ぶことができました。自分のできることを、自由に使える「おもちゃ」という道具で、思うように。そのことは、彼の情緒の安定にも、とても良かったと思います。私が最後までつきあえなくても、おもちゃはいつまでもつきあってくれる。自分のやりたいこと、できることを、満足いくまで、繰り返しやることができる。そしてそれが「できた」証として目の前にあるから、達成感や満足感を存分に感じられる。そしてそれを母が見てびっくりしたり感心したりするから、自分ってすごいな、イイなと素直に信じられる。自己肯定感といわれるものです。そしてそれが、次の意欲につながる。彼にとって、とても良い循環になっていたと思います。
「子どもの姿を見て、まさに『今』にぴったりと思う道具を、その時その時に(できるかぎり)用意した」それだけのことで、わたしは良いおもちゃたちから、とてもたくさんの喜びと、助けをもらいました。それが、おもちゃ専門店の開業につながる、つよい動機だったと感じています。
ライター: 高橋美樹
あそびとおもちゃの専門店「木のおもちゃと手仕事屋かばんねこ」 店主
「おもちゃ」を通じて赤ちゃんからお年寄りまでの教育・福祉・医療にかかわる「おもちゃコンサルタント」の資格をもつ
日々笑い、また、日々子育てに悩む2児の母。