相生町で「木のおもちゃと手仕事屋かばんねこ」というおもちゃの専門店(とレンタルスペース)をしております、高橋と申します。
前回は「おもちゃたちの居場所」がテーマでした。おもちゃたちは、子どもの目の高さで自然に目に入る位置に、棚や机などに並べておくことを、おすすめします。目に入って「あっ」と思った時に、おもちゃ箱をひっくりかえして出す(そしてその他を片付けなきゃ!の)ようなストレスもなく目的のおもちゃを取り出せて、必要なパーツの欠けもなく、すぐに遊びに入れます。そして片付けのときも、ボンとおもちゃ箱に入れるのではなくて「決まった場所に置く」という作業は、「片付ける」という習慣とともに、「ものを丁寧に扱う」ことにも通じます。決まった場所にモノを置くのはおもちゃ箱に入れるのと同じくらいの手間ですし、無くなっているパーツなどにもすぐに気づけます。それもやはり、モノを大事にするという習慣につながるでしょう。
ひとつひとつのおもちゃの居場所を決めておくと、コレはここ、コレはあそこ、と自然に体が動くようになります。それが、教え込み、やらせる「しつけ」ではなく、自然に身につく「生活習慣」。命令されてやるのではなく、自分のやりかたで、自発的に。生活習慣は、「だって、それがあたりまえだから、べつに大変じゃないよ」なのです^^
さて、それで。今日は子どものあそびにどんなふうにつきあってきたかをお話しようと思います。上の子が1歳の頃です。わたしは、机の上にならぶおもちゃたちの中から「コレ」と決めたもので何か作業をしている彼のそばにいるわけですが、とくに二人の間に会話はありません。だってまだ、1語時代だし、ひま。なんというか、間が持たない感じです^^;なのでとりあえず、1歳さんのしていることを、実況中継してみました。「あっ並べてみたんだね、いっぱいだねえー」「1個、2個、3個…高い!5個も積んだよー」「ねえこの赤色きれいだなー」…そんなふうにしていると、彼は、わたしのことばを通じて、自分のしていることを確認というか理解というか再認識というか、「ああ、自分はそういうことをしているのか」「ああこれは四角というのか」「こういうのを落っこちるというのか」と確認していたのだろうなと思います。次の時などに、意識的に同じことをしているなと感じる時がありました。そして、自分のしたことを言葉で表現してもらっているわけですから、彼自身のことばの語彙や、使えることばの表現が増えていきました。
彼は、「人の言っていることをよく聞いている、分かっている」「ことばがはっきりしている、よく話せる」ということを言われることが多かったのですが、ことばの理解と発語が進んだのもきっと、おもちゃを通じた「具体的な」あそびを介して、「具体的に」ことばをやりとり?した、そのことが関係あるのだろうなと感じています。体の動きや様子をことばで表現したり、数や形や色をことばで表現するとき、そこに具体的な「モノ」があるからこそ、「四角い積木を、3こ、赤い積木の上に、積んだ」が、分かりやすいのです^^
子どもの行動を実況中継したりことばをかけるときは、「ゆっくり」「短く」がいいなと思います。私たち大人も、難しいことばがいっぱい入っている法律などの文章を、早口でたくさん聞かせられたら、きっと全部を理解することはできません。子どもは、ことばをこれから覚えていくひとです。だから、わたしたちが英語を学んだ時のように、「ゆっくり」「短く」から。ひとつのことばが体に入れば、もう一つを受け入れられるようになるし、ふたつのことばが体に入れば、3つめ4つめも、スムーズ。あとは、聞こえてきたことばと、自分の体に入っていることばを関連付けたり比べたりして、どんどんことばが増えていきます。
相手の言っていることがよく分かって、自分の伝えたいことも思うように伝えられると、とってもうれしいですね^^ことばの間違いがあっても、指摘しないで大丈夫だと思います。言い間違いは、子供時代だけの愛らしい特権です。大人やまわりのひとの話すことを聞いているうちに自然に直っていきますから、そんなことよりもお話しするって楽しいなという気持ちを大事にするほうが、ずっと良いなと思います。言いたいことがよく分からなくても、根気強く待ったり、いろいろ想像してわかろうとしてあげるのもそう。「しっかり聞いてもらった」子は、「しっかり聞いてあげる」子になります。これもやっぱり、おうちのなかの生活習慣なのかもしれませんね。
なんだか遊びにつきあったやりかたをお話していたのに、ことばのことになりました^^;でもまあ、遊びを通じてことばも学んでいくのだもの、いっか!
ライター: 高橋美樹
あそびとおもちゃの専門店「木のおもちゃと手仕事屋かばんねこ」 店主
「おもちゃ」を通じて赤ちゃんからお年寄りまでの教育・福祉・医療にかかわる「おもちゃコンサルタント」の資格をもつ
日々笑い、また、日々子育てに悩む2児の母。