じっくり見ることの楽しさ

mobilzou

「なにかをじっくり見ることの良さ」って、あまり気にしたことはないですね。

けれど、「よくモノを見ている」人というのは、たしかにいます。

同じものを見ていたはずなのに、自分が気づかなかったことを見ている、知っている。

びっくりするし、尊敬しちゃいます。そういう力って、どんなふうに身につくのでしょうね。

 

よく思うのは、「じっくり見ることの楽しさを感じながら大きくなった人なのかな」とか、「よく見ることの良さを知った人なのかな」ということです。小さい頃から、あるいは、大きくなってからでも。

 

「じっくり見ることの楽しさを感じながら大きくなった」というのは、もちろん暮らしや自然体験やあそび…、生活体験のなかでです。お母さんの縫い物やお料理を飽きずに眺めている、葉っぱが風で揺れる様子を面白がってみている、同じおもちゃで繰り返しあそぶ…、そんなふうに。

 

ただ、この中でも、子どもがいつでもすきなときに自分の意志で体験できるのは、「あそび」だけです。それも、何度でも、いつまででも。

そして、「目で追って動きをじっくり見てあそべるおもちゃ」や、「変化していく動きを追うのがおもしろいおもちゃ」たちは、その期待に違わず、モノをよく見ることの面白さと良さを、何度でも何度でも、好きなだけ、いっぱい体験させてくれます。

大人の欲に即していうと、モノをよく見る力に通じたり、しっかり見ることで何かに気づく力に通じたり…っていう感じ。子どもたちにとっては、おもちゃの動きが楽しくて目で追って遊んでいる、それだけなんだけれど。

 

おもちゃでいえば、たとえば、ゆらゆらゆれるモビールがあります。

まず、赤ちゃんの目線の先に「いつも同じおもちゃが見える」ことは、ママの顔とおんなじくらい、赤ちゃんに安心感を与えてくれます。鮮やかな色が赤ちゃんは大好きなので、パッとした色で親が美しいなと思うものがいいです。

そして、空気の動きにあわせてゆらーりゆらりと動いてくれるモビールは、ただぼんやり目の前にあるものを見るだけでなく、子どもが「自分から見ようと思って見る」。そんな自発的な気持ちを促してくれます。

ひとりあそびの、はじめのはじめ。

自立の、はじめのはじめのはじめ。

 

そうして、じっくり見ることの楽しさをいっぱいいっぱい感じられたら、じっくり見ることは、子どもにとってあたりまえのことに…習慣になります。

そうして、自分から、自分の目に映っているもののなかから、「見たいものに気づく」「大事と思うものに気づく」、そんなことができるようになっていく。

そんな「見る力」を、その子の興味や楽しみに合わせて、じっくりゆっくり応援してくれるのも、おもちゃたちの力なんです。

 

もし、赤ちゃんにモビールを贈るなら、あお向けに寝ている赤ちゃんのおなかの上に…ちょうど視線がくるところに、下げてあげるといいですよ。

 

 

ライター: 高橋美樹

あそびとおもちゃの専門店「木のおもちゃと手仕事屋かばんねこ」 店主

「おもちゃ」を通じて赤ちゃんからお年寄りまでの教育・福祉・医療にかかわる「おもちゃコンサルタント」の資格をもつ

日々笑い、また、日々子育てに悩む2児の母。