孤独を感じやすいママに多いのが、「こうあるべき」「こうしなくてはならない」と思い込んでしまうことです。なんでもテキパキとこなす、完璧主義の女性に多いように思います。自らつくりだした「理想の自分」と比較して、「私はダメだ」と苦しんでいませんか?妊娠・出産・育児において、完璧や正解は得られにくいものです。一所懸命頑張っているつもりが、自分で自分を追いつめてしまっているときもある、ということに気づいてほしいと思います。
自分を犠牲にして一所懸命頑張ることは、とても尊いことです。けれど、ときにそれで無理をしてしまうことがあります。妊娠・出産・育児においては、“頑張ってもどうにもならない”ときが多々あるんです。そんなとき、わたしは「白黒はっきりつけなくていい」と考えます。あいまいな“グレー”があってもよいのではないでしょうか?
そして、頑張ってもどうにもならない、うまくいかない、と感じたら、思い切って頑張ることを休んでみませんか?いったん休んで放っておく、くらいの気持ちが必要なときもあるのだと思います。
まず、妊娠・出産・子育てというものは、本来“孤独”な使命なのかもしれません。「孤独」を乗り切るためには、まず「孤独である」ということを受け止めることが大事なのだと思います。「自分は孤独なことを頑張っているのだ」と認めてしまうと、気持ちが楽になるかもしれません。
それをふまえたうえで、まずは自分自身の心休まること、やりたいことを優先しましょう。「ゆっくりご飯を食べる」「ぐっすり眠る」「お風呂にゆっくり入る」などの、日常的なことこそ大切にしましょう。
人は、寝る・食べるなどの生理的欲求が満たされて、はじめて自己が安定します。そして、そこから他者を愛したい・つながっていたいという欲求がうまれるものです。自分の心身を落ち着いた状態にリセットしてあげることが、孤独を乗り切るための第一歩だと思います。多少のことには目をつぶり、ここは思い切って、わがままになっていいと思います。自分のやりたいことを最優先して、自分を大切にしてあげましょう。
そして、何事も「自分でなんとかしよう」「自分が頑張らなくては」と考える必要はありません。わからないことはわからない、できないことはできないと、胸を張って言っていいのです。頑張れなくてもいい。その弱さもまた、自分自身なのです。「自分はこれでいいのだ」と、しっかり受け止め、認めてあげてください。
こうしてほしい、これが辛いと思ったら、どんな方法でも良いので形にしてみましょう。話すことが苦手な人は、文字にしてみるのも良いと思います。言葉にし、表現することで、自分自身を客観的に見つめることができます。
誰かと話したい人は、「聞いて」「助けて」と声をあげましょう。ときには、そのことでかえって傷つくこともあるかもしれません。でも、あきらめずに気長にチャレンジしてゆけば、どこかにきっと、あなたの話にうなずいてくれる人はいます。自分のペースで、自分のできる方法で、気持ちを形にしてみませんか?
私はいつも、心の中に「生け垣」を持つように意識しています。「塀」にくらべて、ほどよく目隠しができて、外からの風や声が適度に入りやすいからです。そして、独りになりたいときには、生け垣を高く、緑を濃くします。ちょっと外へ出て、誰かと話してみたいときには、生け垣を低くして、緑を少し取り払います。
「孤独」もときにはじょうずに利用して、自分にとって心地良いかたちを見つけられるとよいですね。
(ライター:小川純礼)